液面計
溶融塩と溶融金属、例えば塩化亜鉛と溶融亜鉛界面を検知する液面計です。プローブ先端形状の工夫で、検知精度を高めています。 ・
貯槽や反応槽中の液体の液面位置を測定する液面計には、多くの方式が提案されており、例えば、複数の電極を先端の高さが異なるよ
うに設置し、液面位置の変化による電極間抵抗の変化で、液面を検知するものや、フロートを液中に設置し、フロート位置を何らかの
方法で検知するもの、あるいは、超音波やレーザー光による液面までの距離測定による検知などが知られている。
これらの中で、超音波やレーザー光を利用し、上方から液面を検知する方法は、液面上に液体の蒸気が冷えたときに形成されるミスト
層が存在する場合は、安定した液面検知を行うことは難しい。超音波を使用する場合は、貯層底部に発振器を設置し、下方から液面を
検知する方法もあるが、溶融塩のような高温の液体の液面検知の場合は、底部への発振器設置が難しい。
フロートを用いる方法は、液面位置の直接検知に代えて、位置が測定が容易なフロートに変換しているに過ぎず、検出手段に関する選
択肢は広がるものの、結局、フロート位置を何らかの方法で検出しなければならないことに変わりはない。
これに対して、電極間の抵抗変化によって液面位置を検知する方式は、構造が単純で、溶融塩や溶融金属等の高温液体でも使用するこ
とができ、極めて有用である。電極間抵抗変化による液面位置検知方式は、少なくとも、常に先端が液体に浸漬されている第1の電極
と、液面近傍に先端が位置している第2の電極により構成されている。液面が上昇すれば、第2の電極先端は、液体中に浸漬し液体と
接触状態となる。液面が下降すれば、第2の電極先端は、液体から離れて液体と非接触の状態となる。第2の電極の先端が液体に浸漬
しているときは、第1の電極と第2の電極の間への電圧印加で、電流が流れる。液体の伝導率が低く、第2の電極の先端が浸漬してい
るときの電極間抵抗が大きくとも、気体は絶縁物質であるので、第2の電極の先端が液体から離れ空中にあるときは、電極間抵抗は事実
上無限大であり、その差は大きい。第2の電極の先端が液体に浸漬している時に抵抗測定できるような測定レンジを設定しておけば、電
極先端が液体に接触した時に、抵抗が事実上の無限大から有限値に、極めて狭い液面位置範囲で値が大きくジャンプするので、液面位置
を高分解能で検知することができる。
比重が異なり容易に混合しない2種の液体による、2層構造液体が貯留されている貯槽や反応槽において、上層液体と下層の液体の界
面に当たる液面位置を検知する実用的な方法は、これまで知られていなかった。
電極間の抵抗変化によって液面位置を検知する方式においては、液体と気体の伝導率に大きな差があることを利用して、液面の検知を行っ
ている。と ころが、比重が異なり容易に混合しない2種の液体が分離して貯留されているとき、上層の液体と下層の液体の境界面に当た
る液面位置を検知しよう とする場合、液体間の導電率の差が、気体と液体ほどには大きくなく、第2の電極先端の下層の液体への浸漬前
後の抵抗率の変化は小さく、液体位置 の検出は容易ではない。例えば、上層の液体の伝導率に対して、下層の液体の伝導率が数桁程度小
さい場合でも、第2の電極の先端が下層液体に浸漬している時に対応した抵抗測定レンジを設定してるとき、第2の電極先端が下層の液体
の液面に近づくに従い、電極間の抵抗はほぼ線形に変化し、電極の先端が液体に接触する近傍でも、気体と液体間の界面のように、事実上
の無限大から有限値へといった、明確な抵抗値変化を期待することはできない。
2層構造液体に、一般的な電極型液面計の一方の電極先端を、下層液体に完全に浸漬し、もう一方の電極端を下層液体の液面近くせる場合
を考える。後者の電極を上層液体/下層液体界面に近づけるに従い、電極と界面の距離に比例して、電極間抵抗は小さくなっていき、液面に
十分に浸漬した後は、抵抗 値が大きく変化することはくなる。界面付近での抵抗値変化の異常は、主に、電極先端位置に対する抵抗値の
変化率の変化、すなわち、抵抗−位置グラフ上の変曲点として現れるのみである。下層液体と上層液体の間に、電極-液体間の接触抵抗の違
いがあるときは、界面付近で小さな抵抗値の段差が現れることもある。しかし、この段差を拡大する構成に関する検討は、これまで為されて
いなかった。
上層の液体が電解液の場合は、さらに困難な問題がある。第2の電極先端が上層の液体中にあるときには、電極間は、コンデンサと抵抗が
並列に接続されている配置と等価な状態となっている。このような状態での、第1と第2の電極間への直流電圧印加では、コンデンサの影
響が大きく、電極間に流れる電流が安定しないという問題がある。これは、上層と下層の液体の界面近傍での抵抗値の変化を一層不明確な
ものとし、界面検知を困難にする。
これらの課題を解決し、比重が異なり混合しにくい液体よりなる2層構造液体が貯留されている貯槽や反応槽において、上層と下層の液体
の界面に対応する液面位置を測定する実用的な構成で実現したものが、当社の界面計である。
当社の界面計では、プロ−ブ先端形状を工夫すすると共に、プローブに印加する信号の周波数と電圧を適切に設定している。